8月に発行された550億円規模のテザー(USDT)、仮想通貨市場への影響は確認されず|ブルームバーグ
- 8月に発行された巨額のテザー
- ブルームバーグは24日、「新たに発行された巨額のテザー(USDT)は、ビットコインなどの仮想通貨だけでなく、その他のアルトコイン価格にも影響を及ぼしていない」と報じた。
- テザーとは
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米ドル(USD)法定通貨と連動した価値を持っており、基本的に「1USDT≒1USD」の図式が崩れることはない。その性質上、仮想通貨売買における基軸通貨の一つとして扱われているが、同額のUSDが担保されていない可能性も浮上、一部で問題視されていた。
テザー発行の影響は
ブルームバーグは8月24日、「新たに発行されたTether(USDT)は、主要な仮想通貨や規模の小さなアルトコイン価格に影響していない。」と分析、報道しました。
記事の中で、
「以前、米テキサス大学の論文で、Tetherはビットコインの価格操作や安定化のために使われているという見解があったが、8月の仮想通貨市場には必ずしも当てはまらない。」
と述べました。
論文は6月の半ばに発表されたもので、ビットコインが2万ドルの上場来高値に達したのは、Tetherの発行や、大手仮想通貨取引所Bitfinexによる価格操作によるものだと論じられていました。
これに対してブルームバーグは、
「2017年3月から2018年の3月にかけて大量購入されたテザーの例を挙げたリサーチペーパーから、この年の1%以下の取引しか調査されていないが、およそ50%のビットコインの年複利収益率に達していることが見受けられる。」
と指摘しています。
ブルームバーグの記事には、ビットコイン取引調査会社「Chainalysis」が発表したブロックチェーンに関する最新のリサーチペーパーで、Tetherはビットコインやイーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)などの主要通貨よりも、EOSやNEOなどへの影響が徐々に大きくなってきていると傾向を分析したが、8月の仮想通貨市場には必ずしもこれに当てはまらないと指摘しました。
出典:Bloomberg
ブルームバーグは、EOSやNEOが、8月にそれぞれ37%、44%と下落した事実を例に挙げ、「Omniexplorer dataによると、Tetherは5億ドル以上の価値のある新しいトークンが8月に発行されたが、今月はEOSやNEOに対して5億ドル未満の影響しか与えていない。」と言及しています。
なお、ブルームバーグは2018年の7月にも、Tetherの価格操作に関する独自の見解を投稿。仮想通貨取引所Krakenに焦点をあて、Krakenでの一日の取引量がTether価格に影響与えていることを示唆、価格操作の疑惑を指摘していました。
これに対しKraken側は、「サヤ取りや注文板、固定相場のような、”マーケットの基本原理”を理解していない」と反論しています。
テザー問題に関しては、同じ経営陣を共有する仮想通貨取引所BitfinexとTether社に疑惑も上がっており、米国商品先物取引委員会が12月に両社を召喚。テザーが米ドルで裏付けされているという証拠を求めていましたが、現時点では「不正行為」の罪で起訴されていません。